医療法人社団 武内歯科医院の武内博朗理事長(神奈川県綾瀬市)の
インタビュー「学生のうちにやっておくべきこと」をお届けします。
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前回、あまり触れられなかったので、
改めて、武内理事長のプロフィールからご紹介します。
「母方の祖父は海軍の歯科医官、
父方の祖父は満州鉄道の鉄道歯科医の家庭で、
親を始め周囲の多くが歯科医師という環境だったので、
大人になったら歯科医になるのは必然と思っていました」と武内理事長。
歯学部は人気学部で倍率も高く、念願かなって1981年日本大学歯学部に入学。
「しかし当時の歯学部は、思い描いていたサイエンティフィックな環境とは遠く、
専門学校の面影を引きずっていました。
そこで一度科学にどっぷり浸ろうと思い、
卒業後直ちに横浜市立大学医学研究科大学院の基礎系に進みました」。
大学院では、基礎的な物事の考え方、
論理的な思考を展開する訓練を受けたと話す武内理事長。
大学院修了後は、
・横浜市立大学医学部附属病院 歯科口腔外科勤務(常勤職診療医)
・ドイツ・マックス・プランク研究所 免疫遺伝研究部 勤務
・ドイツ・ハイデルベルク大学医学部泌尿器科学講座 分子腫瘍研究部
・横浜市立大学医学部細菌学講座 非常勤講師
・国立予防衛生研究所(現:国立感染症研究所)口腔科学部 研究員
で国内外で研究に打ち込みます。
1999年に医療法人社団 武内歯科医院理事長に就任。
並行して2011年より鶴見大学歯学部臨床教授の任につきます。
研究者としても、臨床歯科医師としても実績が豊富な武内理事長。
前回もご紹介しましたが、
2018年度(公社)日本口腔インプラント学会学術大会で、優秀研究発表賞を受賞しました。
「“老化の予防”歯科Q&Aの健康が生活習慣病を防ぎます/医学情報社」など多数の著書やコラムの執筆、講演なども精力的に行っています。
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武内理事長に「これだけは学生のうちからやっておいたほうが良いこと」を伺いました。
「国家試験への勉強で忙しいとは思いますが、
学生の皆さんには、“なぜ?”をつねに大切に、興味のある論文を読むことをお勧めします。 特に、イムラッド方式で書かれた論文は、目的、方法、結果、結論、考察、と思考する視点、論点を整理して述べていますので、考える習慣がつきますし、それは、今後の臨床上のあらゆる事象や患者様への説明や、話し合いの方法、議論にも役に立ちます」。
イムラッド(IMRAD)方式とは、
Introduction, Materials and methods, Results, and Discussionの頭文字をとって、こう呼ばれます。
「Introduction 序章は、研究の目的、なぜその研究をしているのか研究の背景と、この研究で明らかにしたいことを述べています。
Materials and Methods は、材料・方法/どのように研究を行ったかの方法です。
これは誰がやっても再現出来なければ科学ではなくなってしまいます。
Results and Discussion は、結果と考察/実験データに基づく事実(結果)から、序論で取り上げた問題に対し、合理的議論を展開して導かれた主要な結論を述べます。
こうした順序で書かれた論文です。
日本の医療は、患者に結論を言い放つ傾向があります。
例えば、
1・“甘いのもを食べ過ぎると虫歯になるよ“
2・“ここに歯垢が付いていますよ!どうやったら落とせるの?“
3・“食べ過ぎるとね血糖値が上がってしまいますよ!“
などなど、日頃よく聞くフレーズですが、
何故?そうなるのかが欠落しています。
「1」は、甘いものが歯を直接攻撃するわけではないので、虫歯につながる理由が必要です。
「2」は、何故歯垢を落とさなければ、健康に悪いのか? 歯垢の害毒についての情報が欠落しています。
「3」は、血糖値が高いと何故悪いのかが、全く判りません。
こうした表面的な内容では、患者が行動変容出来ないのです」。
研究者としても活躍する武内理事長ならではのアドバイスをいただきました。
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とあるアンケートによると、
病院選びのポイントには、
「納得できる説明が受けられるか」ということが重要視されています。
特に高額な治療や、長くかかる治療の際は、医師と患者の信頼関係が必要です。
イチ患者の私としては、説明が分かりやすくまとまっていて、質問がしやすく、
明確に答えてくれる医師が一人でも増えてくれるとうれしいです。
ちなみに、武内歯科医院HPはコチラ。
同院は、厚生労働省指定 協力型臨床研修施設でもあります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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