―手順をマスターしよう!―
患者の不快感を軽減させるため、
急速に広まりつつある「電動麻酔器」。
今回は、この電動麻酔器を使った治療の方法を紹介します。
まず、用意するものは以下の3つ。
1 電動麻酔器
(例、日本歯科薬品製 アネジェクトⅡ)
2 麻酔針 30G(ゲージ)・ショート
3 麻酔薬
(2%リドカイン8万分の1
アドレナリン含有
歯科用キシロカインⓇ
カートリッジ
または、
3%プロピトカイン0.03U/ml
フェリプレシン含有
歯科用シタネスト‐オクタプレシン®カートリッジ)
治療の手順は、
① 針を曲げる
② 電動麻酔器を握る
③ 固定をとる(口唇の圧排)
④ 直視する
⑤ 第1刺入点に刺入する(粘膜麻酔)
⑥ 浸透させる(揉む、広げる)
⑦ 第2刺入点に刺入する(傍骨膜麻酔)
⑧ 第3刺入点に刺入する(歯根膜麻酔)
具体的に解説していきますね。
①針を曲げる
直線状の針は、そのまま使用すると手の固定点が取りにくいため危険です。
あらかじめ、刺入と固定がしやすい角度に曲げておきましょう。
ただし、針の先端は滅菌状態を保つことと、針刺し事故防止のため、針の根本が中央部までしか触れないように注意します。
②電動麻酔器を握る
握って確実に固定します。
握るタイプの電動麻酔器は重心の位置で握るため、軽く持つことができ、
刺入時の感触を手で感じることができます。
③固定を取る(口唇の圧排)
患者の頭がヘッドレストに確実に固定できているか確認します。
左手は頬骨や下顎骨を固定し、左指で口唇を圧排、
さらに、左手指先は歯槽粘膜に触れて、粘膜を圧迫します。
④直視する
固定をとった状態で刺入点は直視できているはず。
左手指先で圧迫した貧血帯は、
刺入の感覚を一時的に麻痺させることができます。
⑤第1刺入点に刺入する(粘膜麻酔)
第1刺入点は、歯肉頬移行部よりも5mm前後離れた頬粘膜。
歯槽骨にあてる必要はありません。
LOWモードでゆっくりと注入し、粘膜の盛り上がりを観察します。
多くの場合、アドレナリンにより粘膜が白くなりますが、
これは麻酔薬が滞留している目安になります。
⑥浸透させる(揉む、広げる)
第1刺入点での注入が終わったら、
いったん機会を安全な場所に置き、
盛り上がった粘膜を指でよく揉み、
麻酔薬を周囲の組織へよく浸透させます。
⑦第2刺入点に刺入する(傍骨膜麻酔)
第2刺入点は、頬側歯肉縁を結ぶラインと
歯の接触点を通る矢状面の好転となる歯槽粘膜。
刺入点より数ミリ根尖側にある歯槽骨頂に向けて
やや下向きに刺入します。
針の開口方向に注意しましょう。
※第2刺入点以降は、ポケットやほかの刺入点から
薬液が漏れることがあるので、
喉や舌に麻酔薬が触れないように吸引します。
⑧第3刺入点に刺入する(歯根膜麻酔)
第3刺入点はコンタクト直下の歯根膜を狙います。
針の向きをしならせて湾曲を強めに調整し、
歯根に沿って歯周ポケットに刺入します。
歯根粘膜に入ると抵抗があるので、針の中央部を指でガイドして
針を進めます。
刺入順序は、近心→遠心→その他、で行います。
文字だけで伝えるのは、なかなか難しいのですが、
イメージできましたでしょうか?
写真や図解付きで見たい、という方は、
鈴木彰著 クインテッセンス出版株式会社
を参照してください。
使う器具から針の角度まで写真付きで解説されています。
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