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【仲井教授②】いざアメリカへ!~留学生活で得たもの&キシリトールとの出会い~

更新日:2020年8月25日


1997年から3年間、仲井教授はワシントン大学歯学部 小児歯科学講座・歯科公衆衛生学講座へ留学しました。

ワシントン大学小児歯科診療室で学生・スタッフと

実は、学生時代に留学を考えたことがなかったという仲井教授。

ホームページアドレス(URL)https://researchmap.jp/snowpicture12

それまで同大学から海外留学した女性歯科医師の前例はなかったからです。

背中を押したのは、大学院で出会った留学生たちの言葉でした。

岡山大学の小児歯科学講座では、

ブラジルやフィリピン、アルゼンチン、中国などから、

たくさんの留学生を迎え入れていたのですが、

その多くが女性だったんです」と当時を振り返ります。

仲井ちゃんに留学のチャンスがあれば、ぜひやったらいいよ!

と彼女たちに勧められ、いつしか留学を考えるようになった仲井教授。

そこで仲井教授は考えます。

もしアメリカに留学する機会があるなら、学位論文を英語で書いておけば、日本でこんな研究をしていたと説明しやすいのではないか!

と、生まれて初めての学位論文を英語で執筆することを決意。

歯科恐怖について研究論文を手掛け始めました。

その論文を、アメリカのワシントン大学歯学部

小児歯科学講座教授に見ていただいたところ、

あなたの能力をさらに開花させるには、

小児歯科学講座だけではなく(歯科恐怖研究で有名な)

歯科公衆衛生学講座(現在の口腔健康科学講座)」にも

所属するのが良い」と強く勧められたそう。

ワシントン大学歯科公衆衛生学講座には、

当時全米でも珍しい「歯科恐怖専門外来」があり

歯科恐怖に関する研究と臨床の世界的権威である

ピーター・ミルグロム教授が教壇に立っていました。

小児歯科学講座では臨床と教育に従事し、

歯科公衆衛生学講座では臨床と研究に従事するという、

二足のわらじ」生活が始まりました。

「あまりの忙しさに、

昼ごはんすら食べる暇のない日もありましたが、

明日死んでも悔いがないと思えるくらいの

3年間をアメリカで過ごしました!」と仲井教授。


2019年ミルグロム教授と(IADR, カナダ)

当時のアメリカでは、

ちょうどキシリトールに注目され始めたところで、ミルグロム教授は、

アメリカのキシリトールの研究の先駆者でもありました。

仲井教授もキシリトールの魅力を知り、

研究に力を注ぎました。


帰国後も、キシリトールの研究を続け、

岡山の産婦人科の協力を得て

5年の歳月をかけて、キシリトールを用いた

ミュータンス菌の母から子への感染予防の研究をし、

2010年1月、論文

「Xylitol Gum and Maternal Transmission of Mutans Streptococci」を発表。

Journal of Dental Researchに掲載されました。

この、Journal of Dental Research は

歯科医学界で最も権威のある雑誌で

「ここに論文を出すのが夢だったんです!」と仲井教授。

この論文をベースに、先に紹介した著書、















「マイナス1歳からはじめるむし歯予防」


「ラクに楽しく! マイナス1歳からはじめるむし歯予防」


を出版し

歯科医師、歯科衛生士、一般の人々へと、広く研究成果を知らしめます。

これらの本は、歯科医師、歯科衛生士のバイブルとなっているそうですよ!





仲井教授が帰国したころの日本では、特に小児歯科の領域でキシリトールについてネガティブな見解が主流でした。
アメリカ友人の歯科医院訪問した際に、即興で母親教室

子どもたちを甘いもの好きにしてしまう

キシリトールは下痢を引き起こす」と主張する研究者が多かったとのこと。


もし、留学していなかったら、私自身もネガティブな思い込みに染まり

キシリトールの研究はしていなかったかもしれません。

診療するうえで、

色々な情報が入ってくる中本当に正しい情報なのかどうかを

見極めるのも臨床力です。

正しく選別して、患者様に届けないと、

患者様に迷惑が掛かってしまいますからね」。

日本の大学院生は、研究をするために論文を読みがちですが、

アメリカでは、

自分の臨床の根拠にするために論文を読む、

というスタンスが主流とのこと。

それを肌で感じられたことも大きな財産となったそうです。


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