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はやわかり!3分でわかる歯科医師臨床研修制度

008 どう変わる?歯科医師臨床研修制度(2022年)

学校アプリケーション
「どう変わる?歯科医師臨床研修制度(2022)」
についてお話しします。

 


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国家試験合格後後、すぐにスタートする歯科医師臨床研修、
今から3か月後、4月に始まるのは2020年度の研修です。

 


この歯科医師臨床研修制度が、
2022年度から変わるのをご存じですか?

(2021年度から見直しを施行し、運用開始が2022年度)

 


もともと、歯科医師臨床研修制度は2006年に始まりました。
その後5年ごとに見直しが行われ、
現在は、「多様なニーズに対応できる歯科医師の養成」をキャッチフレーズに、
2016年に改訂されたカリキュラムが運用されています。
この時は、地域医療や地域包括ケアシステムを
意識した内容が盛り込まれました。

そして、現在、2022年度からの改正に向け、
一戸達也東京歯科大学教授・副学長ら7名により、
歯科医師臨床研修制度の改正に関するワーキンググループが構成され、
改正について話し合いを重ねられています。
そのペースはなんと、ほぼ毎月。
力の入りようが伺えますね。

その内容は、ざっくりというと、
「高齢化が進む日本でどのような歯科医師が求められるのか」
「そしてそのニーズに応える歯科医師を養成するために
どのような研修が必要なのか」
ということ。

今年や来年に研修を行う学生の皆さんには、

現行の研修が行われるので、直接は関係ないかもしれませんが、

国が、国民が必要としている歯科医師像を理解しておくことは

皆さんの進路を考え、歯科医師として生計を立てるために

非常に重要なカギとなるので、ぜひ注目してくださいね。


この改正で大きく変わる点
並んだ文庫本

高齢化が進む日本では現在、介護が必要な体になっても、
住み慣れた地域で最後まで生活できるよう
「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。

それを受けて、歯科医師も、歯科疾患の治療だけでなく、
医師や薬剤師、看護師、介護支援専門員などの多職種との連携による
在宅も含めた歯科医療が求められています。

そう、今回の改正の肝は、まさにこの点。

「地域包括ケアシステムの一環を担う人材育成」

と言えます。


研修プログラムには、様々な「必修」の項目があるのですが、
そこに加えて、特に、

多職種連携や地域医療に関わることについて「選択制」、

つまり自身で選択して参加する項目が導入されます。


例えば、
・在宅療養患者の介護関係職種が関わる多職種チームに参加すること、
・離島やへき地の地域医療を経験すること、
・入院患者の入退院における多職種支援に参加すること、
・保健所などでの地域歯科保健活動を経験すること


をはじめ、地域包括ケアシステムに関わることなどが
選択肢として用意されます。
 

そして、これをどこで研修するのか?


これまでは、研修先によっては、
上記のようなことを学ぶチャンスが非常に少ない施設もありましたが、
今回、協力型臨床研修施設2(協力型2 ※仮称)が新設され、
その協力型2の施設は、5日~30日間
上記の研修をすることができるようになります。

これまでの「協力型臨床研修施設」は、
研修期間が3カ月~半年でしたが、


今回の改正により、

研修医にとっても、施設にとっても

より参加しやすく、選びやすいものへと変わります。

この改正のメリット
小児科医

まず、1点目は、ズバリ、

「研修でこれからの社会で必要とされる歯科医療を経験できる」

ことが挙げられます。

今までの研修では、従来から行われている
歯科診療を中心にトレーニングしてきましたが、
新しい研修制度ではこれからの「 新しい歯科領域 」を
経験する研修を経験する機会が増えるのです!

例えば

・地域包括ケアシステムにおける歯科医療
・訪問歯科診療
・離島やへき地での地域医療
・がんなど病気で闘病中の患者へ周期歯科診療


など、社会へ向けた多様化する歯科診療を経験することができます。


2点目は、

「研修する施設が増えること。」

大学以外の病院、開業医、各種医療施設etc.
それぞれの専門領域の現場を見るチャンスも選択肢も増えます。


3点目は、

研修の評価方法の標準化や指導体制の見直しなども
検討されているため、

「研修施設や内容のさらなる質向上が見込まれること。」

 


*******

 


歯学部学生や若い歯科医師にとっては、

「歯科診療 = 治療すること」

という考えが強いかもしれません。

診療所に来た患者さんの歯の悪い部分を治療する、
昔から求められている部分でイメージしている人も
多いと思います。
大学の講義もそこが中心ですからね。


しかし、実際は、それ以外のシーンでの歯科医師の
役割が増えています。
・診療所に通えない人への「訪問診療」
・歯が悪くならないようにする「予防」
・病院で多職種の医療スタッフと連携しながらの治療

等々。


今回の改正では、

 


机上では知ることができなかった分野の経験を
これまで以上に積むことができる
ようになりますし、
これらの研修を経ることで、
自身の適性や興味・関心を見つけることができると思います。

そして、これこそが最大のメリットでしょう。

歯科医院の数
ブドウ園

ところで皆さん、全国に開業医歯科が何院あるかご存じですか?
その数なんと、6万8000医院!!
コンビニよりも多いと言われています。

コンビニも競争が激しいところでは、淘汰される店舗があります。
残念ながら、同じことが歯科医院にも起こりえると思います。
というか、起こっています。

勝ち残れる、患者に選ばれる歯科医院・そして歯科医師になるには、
国の、地域のニーズを掴むことが近道の一つです。

その一端を知るためにも、今後もアンテナを張っていってください。

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